ルールを作る国とルールを守る国

よく言われていることですが、

アメリカ=ルールを作ることを得意とする
日本=ルールの中で良いものを作ることを得意とする

これはタイムマシン経営が成立していた時代は非常によく機能しました。アメリカがルールを作り、日本がルールの中で安くて品質の高い製品を投入する。ところがグローバル化によりタイムマシン経営がどうにも機能しなくなると、この経営は非常に苦しくなります。

アメリカ=ルールを作ることを得意とする
日本=ルールの中で良いものを作ることを得意とする
台湾・韓国=ルールの中で安いものを大量に世界中に販売することを得意とする < new!

「世界の製造業は新入社員の仕事」の話は笑い話でもなんでもなくよくできてます。いわゆる製造業というのは、ある決められたルール、例えば「TV」「車」「ビデオ」「冷蔵庫」など製品というルールの中で競争することになります。日本はこういったルールの中で良い製品を作るのは非常に得意ですね。しかし今はアジアの国々が実力を付けて来てしまい、この競争力がガタ落ちになっています。

先日の製造業の決算見込みもソニー、シャープ、パナソニックなどが軒並み赤字でした。どこの会社も「構造改革」というキーワードを出しているのですが、これは10年くらい前からずっと言ってるような気がします。

実際には「構造改革」ではなく「経営改革」を行う必要に迫られていると思います。製造業という看板を掲げつつも、製造業から転換する経営を模索しないと「構造改革」という名の「リストラ」を続けるだけになってしまうでしょう。(もちろんスリム化しないと経営の転換もやりづいらいでしょうけれども)

閑話休題・・・

先日GClueの佐々木さんの講演を聴く機会があったのですが、その中でCPUの性能について言及していました。

iPhone4s(2011年)のCPUは19.2Gflops ≒ 富士通VPP5000(1999年) × 2台

わずか10年でスパコンと同等の性能を、手のひらに載せていることになりますね。こうなってくると、組込み技術だけにフォーカスしていることが非常にリスクになってきます。製品としての価値を決めるレイヤーはどんどん上になってきており、技術的な価値よりもサービス的な価値の方がフォーカスされるようになってきています。これは第2次産業から第3次産業への大きな転換点です。

日本は「技術」という「ルール」中で戦うのは得意なのですが、「サービス」には「ルール」がありません。「サービス」は「新価値」なので「創りだす」ことが必要になってきます。 そういう意味では、前述のアメリカがルールを作るのは得意というのは一部間違っていて、今は「ルール」をはみ出した「サービスを創る」のが得意な国に変化しているのかもしれません。アメリカは「ルール」をはみ出すのがベンチャーなので、新しい「サービス」が生まれやすい土壌があります。もちろん日本の中で「サービスを創る」のが得意な会社もありますね。GREEとかDeNAとか楽天とか。やはり元はベンチャーですね。

第3次産業へのシフトは間違いなく起こっているので、製造業が生き残るには「今のルール」を一旦捨てるしか無いでしょう。企業のIT化によって生まれたのは、皮肉にも会社による会社のための「ルール」でした。多大な投資を行なって作り上げた「ルール」を捨てるくらいの「経営改革」を行う必要があります。

いわゆるIT企業であるGREEやモバゲーなどの経営戦略や技術戦略、人材育成を製造業は「Not my business」として見ているように思いますが、彼らの危機感は製造業よりも遥に上だと思います。スピードに負けない体力と知力を結集して、会社の組織を作り上げています。彼らの良い部分は取り入れていく必要があるでしょう。