【書評】Android×Arduinoでつくるクラウド連携デバイス
インプレスジャパンさんから献本を頂いたので、内容の紹介と感想を
著者は @itog こと伊藤元氏
対象読者
以下の各要素を基本的な所から説明しています。
一方でサーバ側(クラウド)の方は省略されている感じなので、想定読者としては、サーバサイドの知識をある程度知っていて、デバイスにも手を出してみたい人向けといったところでしょうか。個人的には以下のような方におすすめします
- メーカの研究開発部門でプロトタイピングをしてみたい人
- すでにクラウドとAndroidのアプリを書いてて、デバイスを繋げてみたい人
内容の紹介と感想
この本ではデバイスをクラウドと接続してIoTらしいサービスがプロトタイピングできることを説明しています。その手段としてAndroid×Arduinoを使っています。プロトタイピングから製品化へ、実際の製品ではAndroidもArduinoも使わない可能性は高いです。しかし今この時代、性能ではなく体験が重要になっています。体験はこういったプロトタイピングで確認できるということを、この本を通して学べると思います。
前半はAndroid Open Accessory(AOA)とその周辺の紹介です。このAOAはGoogleIO2011で発表されましたが、個人的には思ったより広まっていないな。という感じです。一部のMakerな人とAndroid界隈の人たちがチラホラ。
さてArduinoというデバイスをAOAでは利用するのですが、この本だけでArduinoを勉強するのはちょっと厳しいかもしれません。Arduinoについてまずは弄ってみようと言う方は「Arduinoをはじめよう 第2版 (Make:PROJECTS)」とArduinoをはじめようキットから始めるといいかもしれません。キットの方はArduino Unoで、この本に出てくるArduinoはArduino ADKというタイプですが当然ピンコンパチです。個人的にはいきなりAOAに挑戦するよりも、Arduino単体でLEDやブレッドボードをひと通り触ってみてから、AOAとの接続する方が遠回りのように見えますが実は理解しやすいでしょう。これはAOAでのデバッグ時に動かない原因がArduinoなのかAndroidなのかの切り分けが、断然楽になります。
内容は先に書いたように、あまりハードを知らない人向けに書かれていて、回路図の説明はプルアップ・プルダウンなどの用語解説もありますので、どうしてそういう回路になるのか?なども理解できるようになっています。
Androidについては最初にHello Worldの作り方があるものの、AOA自体が結構実装レベルとして大きいので、Android初級者にはやや厳しい内容になっています。ここは他の本でカバーする感じになります。個人的にはAOAを使う上でのAndroidのコードの定石の書き方があれば良かったと思います。(ここは自分もちょっと苦労してこんなの作成したので)
後半はクラウドとの連携の部分ですが5章のみなので、やや内容が少ないのが残念です。前提としてRubyやRails, Gitの知識があることとなっていて、個人的に涙目...orz
全体的に技術的に網羅されているのですが、この本1冊で!ってのは難しいので、Arduino、Android、クラウドそれぞれを別の知識で補っておくと、理解が深まると思います。
Let's Make!